こころパン

私は口からのパンだけでは生きられない。心にもパンが欲しい。

ぼーっとしても、今日も生きる。

“いま飢えている者は幸いです。 やがてあなたがたは満ち足りるから。 
いま泣く者は幸いです。 やがてあなたがたは笑うから。”
(Luke 6:21 SHINKAI)
 
映画「この世界の片隅で」を観た。
キリスト教信仰を描く映画ではないが、冒頭「神の御子は今宵しも」の音楽で始まったのには驚いた。
 
広島から呉(軍港の町)に嫁いだ19歳の「すず」の日常生活の奮闘の中に、静かに、少しずつ戦争の影が忍び寄ってくる。
食料の配給が少しずつ停止される。
野の草を何種類も採ってきて料理する。すみれの味噌汁なんて初めて知った。
玄米を楠正成直伝の調理法に従って増やして炊く(味はイマイチだったらしい)。
「これがわしらの戦争じゃけん」とすずは笑う。
 
しかしついに爆音をもって戦争が日常に入る込んでくる。
 
戦争への嘆き、為政者に対する叫びは直接的には描かれない。
いつもぼーっとしているが真剣に、でも楽観的にすずは生きる。しぶとくてたくましい。その生き様そのものが、どこか戦争という化け物に立ち向かっているようにも見えてくる。
笑いも涙もある。いや笑の方が多かったかも。
 
あの日の後、何もなくなった広島で、夫に「この世界の片隅に、うちを見つけ出してくれてありがとう」と微笑んだ。
 
どんなに辛くても、日々、生きることに懸命になる。
神は必ず私たちに、平安のうちに、笑いを与えてくださる。

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