それが聞きたかったのさ。
そこでイエスは言われた。「十人きよめられたのではないか。九人はどこにいるのか。神をあがめるために戻って来た者は、この外国人のほかには、だれもいないのか。」(Luk 17:17-18)
ある日、傷つき疲れ果てた小鳥が、野の一本の樹の枝にとまった。
樹はその小鳥をかわいそうに思い、介抱し、話を聞いて、共に涙し、励ました。そのうちに樹は小鳥に恋をした。いつまでもここにいて欲しいと思った。
しかし小鳥は
「元気になりました。もう大丈夫です。さようなら」
と飛んで行ってしまった。
樹はそういう別れを何度繰り返しただろうか。
いく年か経って、今日、ある小鳥が戻ってきた。あちこちの枝を飛び回って、歌を歌い始めた。
樹は喜んで言った。
「それが聞きたかったのさ。ようこそ、選ばれた小鳥よ」
(2016年6月24日)